ご挨拶

 例え話をさせて下さい。

  

   遠くに住むA君が一戸建ての家を建てました。

   あなたはさっそくお祝いがてら遊びに行きました。

 後日、共通の友人のB君があなたに尋ねます。

「どんな感じの家だった?」

 

  その時、あなたはどちらの絵(図)を差し出して説明するでしょうか?

①     (設計図) 

 

②     (手描きのイメージ図) 

 

 

  写真ではないため、どちらもA君の家の見た目をそのまま伝えているわけではありません。

果たして、B君にとってどちらの絵が、よりA君の家をイメージしやすいでしょうか? 

 

  

 さて、この話をオーケストラ音楽の世界に置き換えてみましょう。

演奏する曲のイメージを、お客さまにより上手く伝えるには、奏者(描き手)はどちらのアプローチをとる(絵を描く)のが良いでしょうか? 

  

現在、アマチュアのオーケストラの多くは「完璧にまっすぐな線を引き、寸法を1mmのズレもなく描く」設計図を描く方式を理想とし、音程やリズムを合わせるための練習に重きを置いているように感じます。

「正確な音程とリズムがとれさえすれば、音楽として完璧である」とでも言うように。

  

そうでしょうか?

  

仮に「設計図」並みに正確なものが描けたとしても、お客さまに「どんな家か」伝わらない代物であれば、単なる自己満足ではないでしょうか。

……「涙ぐましい努力の先の正確さ」に感動する人はいるかもしれませんが。

どちらにせよ、正確さにおいてはプロフェッショナルの演奏には断然敵わないでしょう。 

  

重要なのは「家のイメージが伝わったかどうか」です。

線が多少曲がっていようが、寸法が正確ではなかろうが伝わる事です。

音楽を奏でるにあたっては「お客さまにどう聴こえているか」という観点での音づくりと言えます。

  

   写真のように明確には伝わらないとしても、絵に描いたように(もちろんカラーで!)お客さまにイメージしてもらえる…そんな音楽づくりを目指したい!との思いから、当アンサンブルを企画しました。

 

   この思いが実現できているかどうかは、お客さまの耳で確かめていただきたいと思います。 

1人でも多くの方に「イメージが伝わり、何か感じるものがあった」と言っていただける事を願って、演奏させていただきます。

 

 

主宰:長谷川  智史